誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽をモチーフに、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに言葉を綴っていただきます。
スクランブル交差点から神泉方面へと戻って行くマリオカート、排気ガスはグリッターのように轟いて
気まぐれにH&Mで買ったばかりの白いブラウスに、迂闊にもソイラテをこぼしてしまった現実から気を逸らす
受動喫煙に耐えられないのに喫煙所の前をうっかり通過してしまうとか、人混みに酔ってしまうのに混雑したカフェが好きだとか、君の習性は不可解でブラックホールみたいに奥深い
幸運は不運と表裏一体
だけど運命には抗いたい
本能のようで知識で培った感受性に突き動かされて、真新しいスニーカーで勝手に街を歩き出す
親は丁寧に教えてくれなかった、兄弟は目を離したら何処かに行ってしまった、愛おしい猫たちは元気に暮らしているのかな?
小さい頃の願いや想いのすべてを、伸縮してゆく未来にまで連れてゆくことは難しい
そもそも歩けば歩くほど、大切な記憶だけがボンヤリと薄れてしまう
ラッキーはスイートだけど時に苦い
美しい涙には特別な魔力が潜んでいるように、僕は一人で甘い蜜を吸う自分を容認してしまう
かわるがわる新しい男の子や女の子がステージで踊ったり歌ったり、そして派手に転んだりとか
世界は今日も深刻な日常から目を逸らすために、新鮮な余談を探している
さぁ次は、誰の出番なのかな?
ILLIT(아일릿)『SUPER REAL ME』(2024年、GENIE MUSIC)収録
渋谷で君を待つ間に
誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
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